運動不足は運動をしなくても解消できる?日常生活での運動強度の話

運動不足解消

 私は本業では理学療法士として整形外科クリニックで勤務しています。整形外科に関する疾患で来られた方に運動を勧めることがよくありますが、なかなか続かない人が多いです。運動を行うと身体に良いということは分かっていてもなかなか継続ができないという声もよく聞きます。そのような方々は、恐らく「運動」という言葉に対し苦手意識が強いのかもしれません。しかし、そもそも身体を動かすこと自体は普段の生活で皆さん実践しているのです。ということは運動と同じくらい身体を動かすことができていれば、運動が苦手な人でも運動と同じような健康に対する効果が得られるかもしれません。
 今回は「運動強度」という言葉に着目して運動不足との関係を見ていきます。

 「運動強度」とは

 運動する際の、負荷やきつさに相当します。
 運動強度を示す単位は「METs(メッツ)」と呼ばれています。METsは安静時(横になったり座って楽にしている状態)を1とした時に、何倍のエネルギーを消費するかを示します。運動強度は3段階に分類され、1.6~2.9METsは低強度3.0~5.9METsが中強度6.0METs以上を高強度となっています。

 低強度の身体活動と等しい日常生活の動き

 楽な労力での掃除、皿洗い、調理、ペットの餌やり、洗濯、座って子どもと遊ぶ、乳児を抱えて移動する、子どもの世話、動物の世話、高齢者や障害者の介助(軽作業)

 中強度の身体活動と等しい日常生活の動き

 窓掃除や床磨き、洗濯物を干す、子どもと遊ぶ、ペットと遊ぶ

 高強度の身体活動と等しい日常生活の動き

 食料品や家財道具を上の階へ運ぶ

 子育て世代の方は子どもと一緒にしっかり遊ぶことで、運動強度や身体活動量を確保できることになります。子育て世代ではない方々でも、家の掃除をしっかり行ったり、ペットとの交流で身体を動かすことによって運動不足解消へ踏み出せるということが言えます。

 日本人の平均歩数と目標歩数について

 皆さんは普段の生活でどの程度歩いていますか?運動はできていなくでも通勤や買い物で歩いている人は、ウォーキングと同じ効果は得られていますよ。ウォーキングの運動強度は中強度ですので、手軽に取り組むことができる運動としても推奨されています。厚生労働省は日本国民の健康増進へ向けて、「健康日本21」という取り組みで歩行量についても報告を出しています。その報告から日本人の現状を確認してみましょう。

1日あたりの平均歩数

 ・成人20~64歳
  男性7841歩、女性6883歩

 ・高齢者65歳以上
  男性5628歩、女性4584歩

1日あたりの目標歩数

 ・成人20~64歳
  男性9000歩、女性8500歩

 ・高齢者65歳以上
  男性7000歩、女性6000歩

 みなさんの歩く量と比べていかがでしょうか?私自身の歩く量は足りていません(笑)。歩行量が不足している私の平日における活動は、通勤が自家用車、仕事中は2階建ての建物内を時々歩く程度なので目標歩数の半分程度と思われます。

 この目標歩数は、成人や高齢者を問わず約1000歩のアップを目指すようになっています。ちなみに、1000歩は約10分の歩行で得られるとされており、距離としては600~700mに相当します。この程度の距離であれば、通勤で電車やバスをひとつ前にて下車して歩いてみると目標を達成できるかもしれません。

まとめ

 今回は、運動強度を示すMETsを用いて運動と同程度の日常生活の動き、われわれ日本人の平均歩数と目標歩数について書きました。普段の生活で家事全般を行っている主婦(夫)は、家事に追われている間に運動した時と同じくらい動き回っている可能性が考えられます。しかし、それだけでは運動不足解消に必要な1週間当たり150分以上の身体活動を達成はできません。今回お示しした目標歩数の達成に向けて、ぜひ歩く機会を増やしてください。

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